「未病を治す」健康寿命の延伸へ
現在の日本は長寿大国として、平均寿命は100歳ともいわれる時代になりました。しかし、それはイコール健康寿命というわけではありません。
健康寿命とはその名の通り、元気に日常生活を営める期間のことを示します。例えば何らかの疾患で生活に支障をきたしたり、病院で寝たきりの状態だったりする場合は、健康寿命には含まれません。
実は、この健康寿命と平均寿命には10歳以上もの差が生じているのが現状です。そこで今回は健康寿命を伸ばすために、病気になる前の状態である「未病」からしっかり身体を整えることの大切さについてお話しさせていただきます。
不調のSOSサインを知ろう
病気になる前の未病の状態であっても、ちょっとした身体の不調はついて回るものです。例えば皆さまのなかで、最近このような症状に心当たりがある方はいらっしゃらないでしょうか?
- 寝ても寝ても疲れがとれない
- 食欲がない
- 体がだるい
- なんとなくやる気が出ない
病気とまではいかなくても、こうした身体の不調を訴える人は多いように感じます。実はこれらの身体の不調は、体温が低いことが関係しているのです。現に、がんやうつ病をはじめとするあらゆる病気の患者さんの多くは、「低体温」であるという事実が判明しています。
低体温は未病を病気に変える
身体が冷えていると聞くと、現代人は女性に多いといわれている「冷え性」をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、ここでいう冷えはそうではなく、平熱が平均よりも低い低体温を指します。なぜなら近年、日本では全体的に季節を問わず低体温の傾向にあり、これが病気を招く最大の原因だといわれているからです。
そもそも現代人の体温は年々低下傾向にあり、この50年で平均体温が0.7~0.8度下がっているという研究データもあります。低体温に陥ると、生命活動に不可欠な体内酵素の不活性化、血流停滞による循環器障害、そして免疫力の低下などが合わさり「未病」から「病気」に変わってしまうのです。つまり、病気を未然に防ぐには、「いかに体温を上げるか」が大切になってきます。
低体温になる原因
では、現代人はなぜ低体温になってしまう人が多いのでしょうか。それは生活習慣と環境的要因が大きく影響しています。例えば疲労や睡眠不足、不安やストレスといった生活習慣の乱れ、季節や環境の変化など、考えられる要因はさまざまです。
これらはどれかひとつが原因というわけではなく、それらが蓄積されることによって、無意識に行われる「呼吸」や「体温の維持」「消化、吸収、分解」などの活動を調節する自律神経の働きが乱れることが根幹にあります。つまり、自律神経が乱れてリラックスできず、緊張状態が続いてしまうことが低体温に影響しているのです。
また、身体が緊張状態にあると、ずっと神経が高ぶって血管が収縮してしまうので血流も悪くなってしまいます。これも低体温になってしまう原因のひとつなのです。
東洋医学で低体温による不調を改善!
低体温は身体にさまざまな悪影響を及ぼしますが、逆に体温が一度上がると冷えて滞っていた血流が良くなります。すると、
- 酵素が働きやすくなり、免疫力や代謝がアップする
- 血管にこびりついていた老廃物が流れるため、血管が詰まりにくくなる
- 身体の細胞に酵素や栄養素が十分行き渡るようになる
このような相乗効果が得られるのです。その結果、さまざまなその他の不調も改善され、生活習慣病やガンといった病気リスクも減るため健康寿命も延びていきます。
東洋医学には、そんな低体温を身体が発する危険信号だと捉え、対処していく方法があるのです。さらに低体温だからといって冷えている部分だけ見るのではなく、身体全体を見てどうしてそうなってしまったかを考えていきます。
こうすることで、もともと備わっている自己免疫力や体温維持機能を正常な働きになるまで戻すことが可能となり、同様の症状で再び困らないための体質改善にもたいへん有効です。
おわりに
未病のうちに体調を整えるには、体温が重要なポイントです。東洋医学は冷え性を改善し、低体温により引き起こされる生活習慣病を始めとするさまざまな不調の予防に力を発揮します。
ぜひ東洋医学を味方につけて、健康寿命を延ばしていきましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。