顔面神経麻痺について
ある日突然、自分の顔が動かなくなったら、誰もが驚き不安に思うことでしょう。顔面神経は表情や涙、唾液の分泌に大きな関わりを持つため、麻痺が起こると生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。
顔面神経麻痺は正しく的確な対処が改善への近道となるため、違和感を覚えたら早期の対応が必要です。今回は東洋医学の視点から、顔面神経麻痺のメカニズムや改善法について詳しく解説します。
顔面神経麻痺の症状と原因
- 「表情を作るのが難しくなる」
- 「水をうまく口に含むことができない」
- 「自分の意思でまぶたが閉じられない」
- 「めまいや難聴が起こる」
このような顔周りの不調が見られたら顔面神経麻痺の可能性があります。
顔面神経は顔の筋肉を動かすのに重要な役割を担う神経です。何らかの原因によりこの顔面神経が麻痺すると、表情筋や涙、唾液の分泌に異常が生じます。顔面神経麻痺が起こる前兆として、耳の裏あたりに痛みを感じることがあるため、このような症状が現れたら注意が必要です。
顔面神経麻痺の原因は、麻痺のタイプによって2つに分類されます。
①中枢性顔面神経麻痺
中枢性の場合は、脳に原因があり顔面の麻痺が起こります。
脳梗塞や脳腫瘍、脳出血などが主な原因で、額の筋肉は動かせるのが特徴です。
②末梢性顔面神経麻痺
末梢性の場合、顔面神経のつなぎ目である神経節に潜むウイルスが何らかの原因で再活性化することにより神経炎になって麻痺が引き起こされると考えられています。ウイルスとしてもっとも多いのはヘルペスや帯状疱疹ウイルスなどです。
麻痺は主に顔面の片側に起こり、耳の不調やめまいが起こるケースもあります。
西洋医学(病院)で治療する場合は耳鼻科を受診するのが一般的で、ステロイド剤や抗ウイルス薬を処方されることが多いようです。
なぜ顔面神経麻痺に鍼灸が効果的なのか
病院で顔面神経麻痺を治療する場合に処方される薬は、副作用などのリスクもあり身体に負担がかかります。しかし東洋医学の鍼灸施術なら薬を使わないため、安心して顔面神経麻痺を改善へ導くことができます。
東洋医学には「不通即痛、通即不痛」(エネルギーや血液が滞ると痛みが生じる、これらの通りがよくなれば痛みはとれる)という考え方があり、これを顔面神経麻痺に応用して施術を行います。顔面神経麻痺の場合、何らかの原因で顔面への気や血液の巡りが悪くなり表情筋が動かなくなることで麻痺が起こると考えます。
気血の巡りを改善するには、気血の通り道である経絡に働きかける鍼灸施術が有効です。鍼灸は経絡のメカニズムを利用して、経穴(ツボ)に刺激を与えることで気血の巡りを改善していきます。
東洋医学では病気は経穴と経絡を通して繋がっている五臓(肝・心・肺・脾・腎)に病変が起こっていると推測します。そのため、気血の巡りを鍼灸で整えることで経絡とつながっている五臓の不調も改善され、顔面神経麻痺以外の不調も合わせて快方に向かうのです。
当店の施術について
50代男性のケース
3週間前の朝に突然、顔の左側が麻痺してしまったお客様です。病院ではステロイド剤を処方されましたが、他に改善の手立てはないかと当店へいらっしゃいました。
口がうまく塞がらず飲み物が飲めない、左側の額にシワを作れない、笑顔が引きつるなどの症状が見られ、日常生活にも支障をきたしているそうです。
東洋医学専門の当店が捉える顔面神経麻痺の原因
当店では顔面神経麻痺は頭部を巡る経絡のどこかに気血の滞りができ、それが痛みや不調の原因となると考えます。
これらの滞りのことを東洋医学では疎泄作用(全身にくまなく血液を行き渡らせる働きのこと)の低下といい、五臓でいうと肝の作用が大きく関わっています。そのため肝のツボや経絡を用いた鍼灸で肝の疎泄作用を高めることを施術の目標とします。
施術内容
当店の施術は、症状が出る背景となる根本的な原因を改善する「本治法」を用いて顔面神経麻痺を改善へと導きます。
この方の場合、肝のエネルギー不足である肝の虚と診断し、まずは足のツボに鍼を接触させて気の不足を補いました。次に顔を流れる主な経脈である「手足の陽明経」のうち、もっとも重要な大腸経と胃経の経絡上にあるツボを狙います。手の親指と人さし指の谷の部分にある合谷(ごうこく)や膝の皿の下のくぼみにある足三里(あしさんり)に刺激を与え遠隔的にアプローチしました。
さらにうつ伏せに体勢を変えていただき、肝と深い関係のある肝ユや胆ユのツボに2〜3ミリ鍼を刺入しました。最後に気血の巡りを整える奇経にお灸をして1回目の施術は終了です。2回目以降はお客様の反応を伺いながら、その日の体調に合わせてツボを選定し、顔面神経麻痺の根本的な改善を目指します。
施術回数とその後の変化
最初の1ヶ月は週に2回、以降は週に1回のペースで来店していただき様子をみました。3〜4回で顔の左側が少しずつ動くようになり、変化に驚かれたようです。
施術2ヶ月目には額のシワや笑顔がつくれる、水をこぼさず飲めるようになるなど症状が劇的に改善してたいへん喜ばれました。口笛を吹く動作も少しずつ改善が見られてきたため、現在は週に一度のペースで様子をみている状態です。
【動画】顔面神経麻痺の改善法を鍼灸師が解説!
顔面神経麻痺を改善された方と統括院長の対談
気血の巡りをスムーズにして麻痺のない生活を!
顔が動かしにくくなると、日常生活やコミュニケーションなどに支障をきたすため、早めの適切な対処が大切です。東洋医学の鍼灸施術は身体に優しく、顔面神経麻痺の根本的な原因を取り除き改善へと導きます。
病院で治療しても治らない、薬の副作用が心配という方はぜひ当店の鍼灸施術をお試しください。体内循環を整えて、麻痺を始めとするお身体の不調を改善させましょう!