虫歯はないのに歯が痛い?非定形型歯痛の恐れ
歯が痛むときは虫歯や神経過敏を想像される方が多いと思います。たしかに歯が痛むときのほとんどは「歯髄炎」や「歯周炎」が原因ですので歯医者さんへ行けば治療はできますが、もしもどんな病気にも当てはまらない歯痛があったら、どうすればいいか困りますよね。
病院で「原因がわからない」と言われると不安になるかと思いますが、そうした歯痛は「非定型歯痛(atypical odontalgia:AO)」と呼ばれ、病院での対症療法や東洋医学での鍼灸施術によって改善できることがあります。
どんな症状なら非定形型歯痛?
非定形型歯痛は、
- ジワジワとした痛みがずっと続いている
- でも歯や歯茎や神経に異常が見られない
こうした場合に「非定形型歯痛」と診断されます。原因は定かではありませんが、中年代の女性によくみられるのが特徴です。痛みは鈍痛で、痛む箇所は歯だけでなく歯茎やあご、顔面にまで移動することもしばしば見受けられます。顔面がズキズキと痛む「三叉神経痛」の痛みとよく似ていますが、歯の周辺に痛みが特化していることで見分けることができます。
通常の治療とその効果とは?
歯科へ行って非定形型歯痛と診断された場合、神経や歯を抜くというような治療よりも、鎮痛剤として抗うつ薬を処方することが推奨されています。たいていは服薬後1週間もしないうちに効果が現れ、ひと月ほどで約7割の患者さんが痛みの軽減を実感されます。
薬で考えなくてはならないリスク
抗うつ薬の副作用は、
- 吐き気や不安・イライラを感じやすくなる
- パニック状態になる
などのケースが報告されています。服薬後、効果が見られた患者さんは長期的に服薬し、次第に減薬という流れになりますが、薬をやめると歯痛が再発する可能性も。また、そもそも3割ほどの患者さんには効かないことも考慮すると、薬による治療が最善かどうかははっきりとは言えないのです。
非定形型歯痛になる原因は?
病院で根本的な治療ができないのには、非定形型歯痛の原因がわからないことに理由があります。原因がわからないものに、西洋医学では対処のしようがありません。一般的に考えられることとして、次の3つが原因ではないかと推測されてはいます。
- 過去の歯科施術
- ストレス
- 遺伝
しかし、残念ながらそこに治療する手立てはないのです。
体の内部の原因を探るのが東洋医学
歯の痛みを一時的に取り除くことを目標にする西洋医学とは違い、東洋医学では痛みの原因は体の内部にあるととらえます。
体を巡るさまざまなエネルギーや血の流れなどの知識を使い、経絡やツボを刺激することで歯の痛みを取り除いていくことができるのです。
なぜ鍼灸施術が有効なのか
歯と歯茎は「手の陽明大腸経・足の陽明胃経」の経路とつながっているため、大腸と胃に歯痛の原因があると捉えることができます。大腸や胃の不調を正すことができれば、自然と歯痛もよくなっていく仕組みです。大腸と胃以外の部位にも同じことが言えます。
まずは全身の不調がどこにあるかを調べ、全身の健康を考えていくのが鍼灸施術の基本的な考え方。それが、4000年以上続く経験と知識を使った伝統医学の施術方法なのです。
不通則痛という考え方
不通則痛(ふつうそくつう)というのは東洋医学の独特な考え方の1つで、「流れが通っていないところには痛みが現れる」という意味を指しています。全身を巡って気を循環させている経絡、血液の流れ、体のほとんどを占める水の巡り、すべてが滞りなくうまく巡っている状態が健康です。
【動画解説】歯が痛い時の対処法について
手術を悩む前に、一度鍼灸へ
ひどい歯痛や三叉神経痛を疑われた場合、手術をすすめられることもありますが、脳の手術になるためリスクは決して低くありません。手術が成功しても耳が聞こえづらい・顔の感覚が鈍くなるなどの後遺症が認められるケースは1割を超えているといった報告もあります。
病院でダメだったときの最後の駆け込み寺として鍼灸をお考えになる方もいますが、それでは遅いケースもあります。薬や手術に踏み切る前に、ぜひ一度東洋はり灸院にご相談ください。