鍼灸師が教える不整脈の対処法とオススメのツボ
不整脈とは、脈のリズムが乱れ、不規則な状態のこと。
病院や西洋医学では一般的に加齢や自律神経の乱れ、ストレスなどが関係していると言われている不整脈ですが、東洋医学の見解は異なります。
東洋医学では不整脈は「心血不足(しんけつふそく)」「陰虚火旺(いんきょかおう)」「お血」の3つが関係していると考えているのです。
本記事では東洋医学ではどう考え改善に導いていくのか解説していきたいと思います。
不整脈とは
脈は心臓の動きと連動していて、興奮状態では速く、リラックスした状態では遅くなります。脈拍数は1分間に50~100回の間が正常と言われていますが、不整脈の人はそれが一定ではなく不規則になっているのです。
50回以下を徐脈(じょみゃく)、100回以上を頻脈(ひんみゃく)、脈がとんでしまうことを期外収縮(きがいしゅうしゅく)といい、どれか一つでも当てはまれば不整脈の疑いがあります。
また不整脈のある人は動悸や息切れがある人も多いと言われています。
不整脈の危険性
実は不整脈だからといって必ずしも症状が起きるわけではありません。しかし、不整脈のなかには下記のような怖い症状を引き起こすタイプもあります。
- 急な意識消失・失神
- 体を動かすと息切れ・めまいを起こす
- 突然の動悸
さらに不整脈は放置すると心不全や脳梗塞のリスクが高まります。自覚症状がある人は早めに医療機関を受診するようにしましょう。
不整脈の3つの原因
東洋医学では、不整脈の原因を
- 心血不足(しんけつふそく)
- 陰虚火旺(いんきょかおう)
- お血
この3つと捉えています。それぞれの状態と対処法をみていきましょう。
「心血不足(しんけつふそく)」の場合
東洋医学では「心」とは精神活動を指し「血」は栄養を指しています。つまり心血とは簡単に言えば精神活動を養う栄養としての血のこと。
これが不足すると脳への栄養がいかなくなり、不整脈、動悸、精神不安、集中力や記憶力の低下、やる気の減退、不眠などのトラブルが発生します。原因としては下記が考えられます。
- 手術や出産などで大量出血した
- 整理の出血量が多い
- 働きすぎ
- 考えすぎ など
東洋医学では足りないものを補っていくという考え方があり、「心血不足」は車で例えるとガソリンが不足している中、走り続けているような状態。
まずは消耗を抑える必要があります。消耗を抑えないといくら補っても足りなくなるのは当然ですよね。
心血不足の人は頑張り過ぎない、考えすぎないことが大切。それにプラスで「補う」ハリ灸やマッサージ、食べ物を取り入れると改善していきますのでご紹介していきますね。
「心血不足(しんけつふそく)」の対処法
気血を補う食材を摂りましょう。おすすめは下記の食材です。
- くるみ
- なつめ
- 黒キクラゲ
- ほうれん草
- 小松菜
おすすめのツボ
ダン中
胸にあるツボで左右の乳首のちょうど真ん中にあります。こちらを一日に3~5分ほど中指で軽くゆすりながらマッサージしていくと効果的です。
少衝
小指の薬指側の爪の角にあります。こちらは動悸などがある場合にマッサージすると緩和していきますので是非お試しください。
「陰虚火旺(いんきょかおう)」の場合
陰虚火旺(いんきょかおう)はざっくり簡単に説明すると体の内側に「熱」がこもってしまっている状態のこと。どういう状態かというと、手足がほてる、目が充血しやすい、耳鳴り、睡眠障害、生理の経血量が少ないなどがあります。
陰虚火旺の原因は下記が考えられます。
- 慢性疾患を患っている
- 夜更かし
- 房事過多 など
「陰虚火旺(いんきょかおう)」の対処法
こういった症状のある方は熱がこもっている状態なので、揚げ物やハンバーガー、フライドチキンなどの脂っこいものは避けましょう。
オススメのツボ
陰陵泉
膝の内側でひざ下くぼみの位置から指4本分下がったところ。押すと落ち込むところがあり痛気持ちいい所になります。こちらも一日3~5分、イタ気持ちいいくらいでマッサージしましょう。
「お血」による不整脈の場合
お血は簡単に言うと血行不良、循環が悪い状態のことをいいます。胸が痛くなる、舌の裏に濃い紫色の血管がある、生理時に血の塊があるとお血の不整脈の可能性があります。
原因としては下記が考えられます。
- 冷え
- 運動不足
- 脂っこいもの、冷たいものの食べ過ぎ
- 憂鬱になりやすい
「お血」の対処法
脾、胃の働きが悪く食べても熱を作り出せない状態なので、軽く運動をするのがいいでしょう。ジムに通ったりする必要はなく15分くらいのストレッチや散歩などでOK。日の光を浴びることで憂鬱な気分も和らげることができます。
また身体を温めることも効果的です。手先、足先には内臓とつながっているツボが沢山あるのでそれらを直接温めることができる半身浴+ひじから下を温めるのがオススメです。
オススメのツボ
大椎
大椎は首を下に向けると首の付け根あたりにボコッと一番飛び出る骨があります。その下が大椎になります。ここは冷えのお客様が来られると必ず使うツボでもあります。髪を乾かすときに一緒に温めるとより効果的ですよ。
血海
「血海」の「血」は血液や血流のことを指し、「海」は大量に集まる場所という意味。
血の流れが悪い、不足しているといった婦人科系の症状に効果的なツボになります。
膝のお皿の上、内側の角から指3本分上がったところ。ここはマッサージもいいのですがお灸で温めたほうがより効果的です。
東洋医学は不整脈改善に効果的
東洋医学では不整脈といってもこのようにいろいろなパターンがあります。どれに当てはまるか確認して対処していくとより早く改善に導けると思います。
不整脈があるからと言って心臓だけに原因があるわけではありません。人間の体は全てつながっています。その他の症状が改善することで結果的に不整脈もよくなる、そのようなイメージを持っていただくといいかと思います。
自宅でできるケアや食べ物などを挙げさせていただきましたが、鍼灸は心疾患にもとても有効だと思っています。もし不整脈でお困りの方がおられましたら東洋医学という選択肢をもってみてはいかがでしょうか。