後鼻漏でお悩みの方必見!鍼灸師が教えるセルフケア(食事・半身浴・ツボ)

- update更新日 : 2026年10月02日
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後鼻漏

朝、のどにネバつく感じがする。
痰を出そうとしても出ない。
飲み込めば少し楽になるけれど、また降りてくる。
会話中や就寝前に、どうしても気になってしまう——。

後鼻漏(こうびろう)は、誰にでも起こりうる生理的な現象です。
ただ、量が増えたり粘りが強くなったりすると、のど違和感・咳・痰・閉塞感へとつながり、生活の質を大きく下げます。

後鼻漏(こうびろう)

耳鼻科で薬を飲んでも、Bスポット治療を受けても、数日すると元に戻ってしまう。
検査をしても大きな異常がないと言われるーそんな方が少なくありません。

この記事では、西洋医学で語られる後鼻漏の仕組みをみたうえで、東洋医学ではどのように考えるのか、ご自宅でできるケア、そして当院の経絡治療がどのように体へアプローチするのかまで、一本の流れでお伝えします。

後鼻漏とは

鼻水は本来、鼻腔や副鼻腔の粘膜を潤し、ほこりや病原体を洗い流すためのものです。
一日におよそ1〜1.5リットルつくられ、その多くは無意識のうちにのどの奥へ流れています。サラサラならほとんど気づきません。

後鼻漏の自覚症状
  • 鼻水の量が増えて、たえず降りてくる
  • 粘りが強く、のどに張りつく
  • 色が白く濁り、黄ばむ
  • 痰払い・咳・のどの閉塞感がつきまとう
  • 朝起きたとき、枕元やのどに違和感が残る

鼻水そのものが「悪」なのではなく、粘膜の防衛反応が過剰になったり、排出のリズムが乱れたりした状態、と捉えるとわかりやすいです。

西洋医学でよく挙げられる後鼻漏の原因

病院で説明される代表的な背景は、次のようなものです。

アレルギー性鼻炎・慢性鼻炎

花粉、ホコリ、温度差、乾燥などで粘膜が過敏になり、分泌が増えます。サラサラの水様性から、慢性化すると粘稠な鼻水へ変わることもあります。

副鼻腔炎(蓄膿症)

副鼻腔の出口が塞がり、膿性の鼻水がのどのほうへ流れやすくなります。頭痛、顔面の重さ、嗅覚の低下を伴うこともあります。

慢性上咽頭炎

鼻とのどの境目(上咽頭)に炎症が長引くと、後鼻漏・のど違和感・痰・倦怠感・頭重が重なりやすいとされます。局所処置で一時的に楽になっても、再燃する方が少なくありません。

薬や局所処置だけでは戻りやすい理由

抗ヒスタミン薬、点鼻薬、抗生物質、消炎処置は、今出ている炎症や分泌を抑える力が強い一方、「なぜ粘膜が過敏になったのか」「なぜ水が滞る体質なのか」までは扱いません。ここが、東洋医学が得意とする領域です。

西洋医学でよく挙げられる後鼻漏の原因

※発熱、血の混じった鼻水、強い顔面痛、急な嗅覚消失、呼吸困難などがある場合は、まず医療機関の受診を優先してください。鍼灸は代替医療ではなく、体質面からの補助的な選択肢です。

東洋医学が考える後鼻漏の原因

東洋医学に「後鼻漏」という病名はありません。
鼻汁の過剰、排出の滞り、のどの違和感を、全身のバランスの偏りとして読みます。

当院では、後鼻漏の原因として次の4つの立場から診察・治療をします。

東洋医学が考える後鼻漏の原因

1. 湿邪(しつじゃ)——余分な水分が熱を帯びて滞る

湿邪とは、身体に余分な水分がたまって不調が起こる状態です。
後鼻漏の方は、この湿が上にのぼり、熱を帯びて粘る場合があります。

この場合、次の症状を伴います。

  • 鼻水がドロッとしている
  • むくみやすい、頭が重い
  • 身体がだるい、胃が重い
  • 舌に白い苔がつきやすい

長年の飲食の偏り(冷たいもの、甘いもの、脂っこいもの、夜遅い食事)が、湿をつくる土台になりやすいと考えます。

2. 肺の弱り——粘膜のバリアと「降りていく力」の低下

東洋医学では「肺は鼻に開竅(かいきょう)する」といいます。鼻の通り・粘膜・皮膚のバリアは、肺の働きと結びつきます。肺の役割は大きく二つあります。

  • 宣発(せんぱつ):気と水分を体表へ行きわたらせる
  • 粛降(しゅくこう):清らかなものを静かに下ろす

この二つが鈍ると、外からの刺激(寒暖差・乾燥・ウイルス)を跳ね返せなくなり、鼻水が出やすく、かつうまく降りなくなります。

  • 風邪をひきやすい
  • 肌が乾燥する
  • 便秘や下痢をくり返す
  • 朝に症状が強い
  • 便通の乱れ

こうした方は、肺のグループが負担を抱えていることが多いです。
肺と大腸は表裏の関係にあるため、便通の乱れも同じ土台として見ます。

3. 脾の弱り——「痰の源」は胃腸にある

東洋医学には「脾は痰を生じ、肺は痰を貯える」という言葉があります。
つまり、粘る鼻水や痰は、鼻だけで作られているのではなく、胃腸の水分代謝が追いつかず「痰湿」になったものが、上に貯留した姿でもあります。

甘いもの、白砂糖、冷飲食、食べ過ぎは脾を弱らせます。
手足の冷え、食後のだるさ、軟便、むくみがある方は、鼻だけを攻めても戻りやすいタイプです。

4. 冷えのぼせ(上熱下寒)——頭は熱く、足は冷たい

後鼻漏は湿邪だけでなく、「冷えのぼせ」の状態でもあります。
熱が上にこもり、足先や下半身は冷えてしまう。頭寒足熱の反対です。

陰陽のバランスが崩れると、上の粘膜は熱と湿でただれやすく、下は巡らず水が滞ります。
食事の見直しと同時に、下半身から温めて熱を下ろすことが必要です。

今日から自宅でできるセルフケア

後鼻漏の方がセルフケアで行っていただきたいことは「湿を増やさない」 ・「下を温める」ことです。

身体を冷やす食べもののを見直す

後鼻漏の方は、手先・足先の冷えが強い傾向があります。
まずは冷たい飲み物、氷、生もの、昼夜逆転した食事を見直してください。
「温かい汁物を朝に一椀」、という小さな変化でも、脾の負担は軽くなります。

身体を冷やす食べもののを見直す

白砂糖を避ける

ケーキやクッキーなどのお菓子には、大量の白砂糖が入っています。
白砂糖は血液の巡りを悪くし、冷えと湿をもたらす原因のひとつです。
お菓子を選ぶときは原材料を一度見て、白砂糖をできるだけ控えてみてください。

南国でとれるものを常食しない

バナナやコーヒーなど、南国でとれるものは身体を冷やす作用が強いです。
その土地で食べる分には問題なくても、日本の気候、とくに寒い時期に常食すると冷えにつながります。
できるだけ、住んでいる地域と今の季節にとれるものを意識してください。

身体を温める

半身浴で下から温める(肘から下まで入れる)

冷えのぼせには半身浴が向きます。
ただし、ただ腰まで浸かるのではなく、必ず肘から下も入れてください。
肘から下と膝から下にはツボが多く、そこを温めると内臓の巡りが整いやすくなります。

  • 湯温は40〜42℃めの熱め
  • 肘から下まで浸ける
  • 二の腕に汗の粒ができるくらいまで
  • 最初は汗が出にくくても、続けると出やすくなる

継続すると、疲れの取れ方や眠りの質が変わる方もいらっしゃいます。
のぼせが強い日は、頭を冷やす・湯船の時間を短くする、など加減してください。

床に直接寝ない・座らない

直に床で寝ている、座っている方は湿に侵されやすいです。
夜は床に湿気と寒気がたまりやすく、そこから身体へ入ります。
畳やフローリングの上でも、厚手のマットや布団を一枚挟むだけでも違います。

床に直接寝ない・座らない

ストレスをためない

肝の気が滞ると熱が上へ行きやすく、肺の粛降(下ろす力)を邪魔します。
完璧に解消する必要はありませんが、「溜め込んだまま寝ない」だけでも粘膜の過敏さは変わります。
短い散歩、入浴、会話など、出口を一つ決めておくとよいです。

後鼻漏に効くツボのセルフケア

鍼灸院ではツボを使って施術しますが、ご自身でも押せるツボを紹介します。
強く押しすぎず、痛気持ちいい範囲でお試しください。

① 迎香(げいこう)

小鼻のすぐ脇、ほうれい線上のくぼみ。鼻の通りを整え、分泌の偏りをゆるめます。左右ともに、眉毛へ向かって斜め45度の角度で押します。3秒ずつ5回を1セット、一日4〜5回。

迎香

② 印堂(いんどう)

眉間の中央、押すと痛気持ちいいところ。のぼせと鼻周囲の滞りをゆるめます。中指の腹で円を描くように、時計回り10回・反時計回り10回を3セット。一日4〜5回。

印堂

③ 孔最(こうさい)※余裕があれば

孔最(こうさい)

前腕の親指側、肘の横紋と手首を結んだ線上で、肘寄り3分の1あたり。肺の経絡にあり、鼻水・咳・呼吸器の過敏さに用いやすいツボです。指腹で円を描く、または市販のお灸で温める程度で十分です。

セルフケアは「毎日の土台」です。数日で消える方もいれば、体質が絡む方は週単位で変化が出ます。悪化する、出血する、痛みが強い場合は中止してください。

以上が後鼻漏の方がご自宅でできる簡単セルフケアの紹介です。

是非試してください。

 

ここからは、東洋医学の伝統経絡治療では鼻の不調に対してどのように治療をしていくかを紹介します。

解決② 経絡治療で体質から整える

東洋医学では、後鼻漏だからといって鼻だけを見て施術しません。
なぜその症状が出たのかを考え、身体全体を診てアプローチします。

当院の経絡治療は、四診(問診・脈診・舌診など)で五臓(肝・心・肺・脾・腎)の虚実を見極め、本治法(体質の土台を整える施術)を中心に据えます。
顔や鼻への鍼は必要最小限にとどめ、手足・背部の経絡から肺・脾・腎のバランスを整えることがほとんどです。

経絡治療の処置風景

わかりやすくいえば、次のようなタイプに分かれます。

  • 水っぽく量が多い/寒がり/風邪をひきやすい → 肺の気虚・寒寄り
  • 粘る・白い/胃腸が弱い/甘いものが好き/むくむ → 脾虚湿盛
  • 黄色い・ヒリヒリする/のぼせ/イライラ → 熱が上にこもるタイプ
  • 慢性で再発しやすい/腰や足が冷える/疲れが抜けない → 腎の支え不足も視野に

副鼻腔炎の治療症例

副鼻腔炎で来院された方の一例では、肺のエネルギーを補う手のツボへの接触鍼、鼻の特効穴(上印堂)への置鍼、背部の反応部位、肺兪や飛揚への置鍼、上星へのお灸、といった流れで進めました。
回数やツボの組み合わせは、その日の脈と全身状態で変えます。

伝統的な経絡治療のお灸風景

経絡治療の目指すこと

伝統的な経絡治療で後鼻漏を治す際、目指すのは、今の鼻水を止めることだけではありません。

  • 粘膜が刺激に過剰反応しにくい状態
  • 胃腸が余分な湿を作らない状態
  • 足が温まり、熱が上にこもらない状態

この三つがそろうと、後鼻漏だけでなく、風邪のひきやすさ、だるさ、睡眠の浅さも一緒に動き始めます。
このように、経絡治療では後鼻漏になった根本原因にアプローチすることで、「後鼻漏になりやすい体質」から、「後鼻漏になりにくい体質」にすることを目指します。

元気で生き生きとした様子

変化の目安(個人差があります)

後鼻漏が治癒するまでの流れは、その方の体質や罹病期間によって差があります。
目安としてお伝えすると、次のような経過をたどる場合が多いです。

  • 回復初期:のどの張りつきが短くなる、朝のだるさが軽い
  • 回復中期:痰払いの回数が減る、頭重が軽くなる
  • 安定期:寒暖差や飲食の乱れでも戻りにくくなる

グループ院全体の施術における改善率は93.5%(計測期間2017年4月〜2020年12月/効果には個人差あり)です。
※後鼻漏に限った数字ではなく、お身体全体の変化としてご覧ください。

後鼻漏のある方が、ほかにも抱えやすい不調

後鼻漏で来院される方を診ていると、「鼻とのどだけ」で終わっていることはほとんどありません。

これは東洋医学で考えると、当然の状態です。

なぜなら東洋医学では肺・脾・腎の偏りが同じ土台になるため、次のような不調のいずれかをあわせ持つ方が多いです。

この場合、「後鼻漏単体」ではなく「体質」として見たほうがよい、という目安です。

呼吸器・のどまわりの症状

  • 長引く咳、切れにくい痰、朝の痰払い
  • のどのイガイガ・閉塞感・声のかすれ
  • 鼻づまり、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎をくり返す
  • 風邪をひきやすい、治りきらない

頭・耳・眠りの症状

  • 頭重、眉間や目の奥の重さ、天気で悪化する頭痛
  • 耳閉感、耳鳴り、音がこもる感じ
  • 寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝のだるさ
  • 口呼吸になり、口の渇きや口臭が気になる

胃腸・水分代謝の症状

  • 胃が重い、食欲の波、食後のだるさ
  • 軟便・便秘をくり返す、お腹が冷えやすい
  • むくみ、身体が重だるい
  • 甘いもの・冷たいものが欲しくなる

冷え・皮膚・自律神経の症状

  • 手先足先の冷え、下半身だけ冷える(冷えのぼせ
  • 肌の乾燥、かゆみ、アトピー体質の方の粘膜過敏
  • 天候や気圧で調子が崩れる
  • 疲れが抜けない、気分が落ちやすい、イライラとのぼせ

後鼻漏のある方が、ほかにも抱えやすい不調

肺と大腸は表裏、脾は痰の源、腎は水と冷えの土台です。

だから鼻炎・腸の不調・皮膚の乾燥・末端の冷えが、西洋医学では別々の科で「別の病気」と扱われる一方で、東洋医学では一本の線につながることがあります。

後鼻漏が続くと、他への影響も

降りてくる鼻水は、のどで止まるだけではありません。
量と粘りが続くと、周囲の機能へ負担が及びます。

のど・気管・睡眠

後鼻漏が喉頭や気管に刺激を与えると、乾いた咳や夜間の咳が出やすくなります。横になると流れやすくなるため、睡眠の分断につながり、翌日の集中力や免疫の回復を下げます。口呼吸が定着すると、のどはさらに乾き、分泌物はより粘ります。

耳・頭の重さ

上咽頭は耳管の入り口に近い位置にあります。炎症やむくみが続くと、耳閉感や音の聞こえにくさ、頭の重さとして感じることがあります。「耳鼻科では大きな異常がないのに、こもる」という訴えの背景に、後鼻漏が重なっていることもあります。

消化と口の中

粘る鼻水を無意識に飲み込み続けると、胃の負担になり、胃もたれや吐き気、口臭の原因になることがあります。脾が弱い体質では、ここからさらに痰湿が増える、という悪循環にもなりやすいです。

自律神経と「なんとなく不調」

慢性の粘膜刺激は、交感神経と副交感神経の切り替えを乱れさせます。
日中のだるさ、天候痛、不安感、のぼせと手足の冷えが同時にある方は、後鼻漏そのものより「上に熱・下に冷え・中に湿」の偏りが、複数の症状として表に出ている状態です。

だから鼻だけを止めても戻りやすい

点鼻薬や局所処置で一時的に分泌が減っても、胃腸が湿を作り、足が冷え、肺のバリアが弱い状態が残っていれば、また降りてきます。
逆に言えば、後鼻漏が楽になると、咳・頭重・眠り・胃の重さ・冷えまで一緒に動き始める方がいらっしゃいます。
鼻の症状は、全身のバランスを見る入口でもあります。

経絡治療を行う様子
当院の経絡治療では、体質全体の改善にアプローチします

まとめ

後鼻漏は、鼻の粘膜だけの問題ではありません。

  • 湿邪(しつじゃ)
  • 肺のバリア低下
  • 脾(ひ)が作る痰湿(たんしつ)
  • 冷えのぼせ

この重なりが、のどへ降りてくる鼻水を「つらい不快感」に変えています。

そのため、「飲食の不摂生」や「床でのうたた寝」が後鼻漏を長引かせているとは、ご本人も気づきにくいのが実情です。

「食事」「半身浴」「ツボ」「経絡からの五臓を整える施術」で、体の土台を変えていくことが可能で、これにより、薬では届きにくかった部分が根本から動きます。

どこへ行っても良くならなかった方、後鼻漏の苦しさで日常が制限されている方が快適に暮らせる日が訪れることを願っています。