舌苔(ぜったい)が起こる原因と改善法

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舌苔(ぜったい)とは舌の表面に付着している白い苔のようなものです。これは食べカスや細菌などが蓄積されることで発生します。この舌苔は「口臭の原因になる」、「汚いから磨いた方がいい」というイメージがあるかもしれません。しかし、本当にそうなのでしょうか。

東洋医学では、舌の状態は体調を映し出す鏡といわれています。そこで今回は、東洋医学の視点から舌苔が起こる原因や改善方法を解説していきます。

舌苔はなぜつくの?

舌

「コケ」は暗くてジメジメしているところに生えるように、舌苔も身体の中で湿気のようなよどんだものがあるときに多くつきます。身体の半分以上は水分でできていて、それが滞りなく循環しているときは、身体に潤いをもたらし栄養分をスムーズに運ぶことが可能です。

しかし、何らかの影響で水分の巡りが滞ってしまうと、滞った水分は身体にとって有害なものとなってしまいます。その水分の滞り具合や、生活環境の影響が舌苔に変化をもたらします。

舌苔の原因

舌苔がつく原因で多くいわれるのは、ストレスや暴飲暴食です。例えば、飲み会などで冷たいお酒や脂っこい食べ物を食べた翌日には、舌苔が厚くつくことが多くなります。

また、食生活は乱れていないのに舌苔がついてしまう方もいます。それはもともと消化吸収能力が低いタイプの方です。このタイプの方は他の人よりも消化吸収能力が低いため、身体に湿が溜まりやすく、舌苔もできやすくなります。

他にも、普段から甘い物をよく食べる習慣のある方も、身体に湿が溜まりやすいので舌苔がつきやすいです。舌の細胞は入れ替わりが激しいため、症状が軽い方は生活習慣を正せば、23日で改善することもあります。

例え症状が慢性化したとしても、規則正しい生活習慣を続けることで舌にも変化が現れるでしょう。身体に余分なものが溜まっていると舌苔として出てきてしまうため、胃腸機能を整えて身体の循環を良くすることが大切です。

舌でわかる身体の状態

舌診

東洋医学では、舌の状態は体調や内臓の不具合を映し出す鏡としています。施術の前にはこの舌の状態をみる「舌診(ぜっしん)」を行なってお客様のお身体の状態を把握します。舌は粘膜で覆われていて、血液もよく流れていている場所であることから、血液や体液の状態がすぐに現れるところです。

そのことから、舌の状態をみることで身体の健康状態を知ることができます。そのため、舌苔がつきやすくなった場合はすぐに削ぎ落とすのではなく、自分の生活習慣を見直してみましょう。

東洋医学の視点から見る「舌苔」

説明

東洋医学的な舌のチェックポイントは以下の3つとなります。

  1. 舌苔の色
  2. 厚さ
  3. 湿り具合

舌の状態は、毎日観察しておくことが大切です。

正常な舌の状態とは「うっすら白く適度な湿り気がある状態」となります。ほんのり白い舌苔がついていて、舌のピンク色が見えているのが良い舌の状態です。それに対して、「舌が白く分厚い」「黄色っぽい」「舌苔が全くない」といった場合は異常が現れています。

舌苔が薄ければ健康で元気、あるいは不調があっても病は軽い状態で、舌苔が分厚くなるほど病の状態は重いまたは慢性化した状態です。ここでいう湿り気とは、乾燥してても湿り過ぎ(テカテカ)てても身体の水分代謝が悪いと考えます。

また、白い舌苔が多いと体に冷えや湿気が溜まっていると判断します。


一方、黄色い舌苔は溜まった湿気に熱が加わった状態です。例えば、身体に湿気が溜まっている状態でお酒や辛い物、高カロリーの物を食べることによって熱が加わります。東洋医学ではそのような状態を「湿熱」といい、湿熱が溜まると口内炎や胃炎、胸やけ、ゲップ、口臭がきつくなるなどの症状が現れやすくなるのが特徴です。

なかには黒い舌苔があり、これが見られる場合は病がかなり進行している可能性や、薬の影響による口腔内の環境の変化が考えられます。このように、舌に舌苔がたくさんついていると体の調子が悪いことが想像できますが、舌苔が全くない状態も身体からの危険信号なのです。

もし舌苔がない状態になってしまったら、それは身体の抵抗力が下がっている状態となります。舌はコーヒーやお菓子類などで着色することがあるため、舌苔などをチェックする際は、食後は避けましょう。また、たばこを吸っている方はヤニの影響で正常な判断ができない恐れがあります。

舌苔を改善するオススメのツボ

東洋医学では、身体を縦横無尽に流れる経絡に点在するツボを用いて施術を行います。これは、ツボに鍼やお灸で刺激を与えることで、臓腑の活性化や巡りの改善を図るためです。

ここでは舌苔を改善するためにオススメのツボを3つご紹介します。お灸はセルフでも行えるので、ぜひご自宅でも試してみてください。

①中脘(ちゅうかん)

中脘

中脘は胃腸の調子を整える特効ツボです。みぞおちとおへその中間を押してみて、張っている部分がツボの目印となります。

②足三里(あしさんり)

足三里

足三里は胃腸の不調を整えるほか、歯痛や冷えなどにも効く万能なツボです。膝のお皿の外側のくぼみから指4本分のところを目安にとりましょう。

③三陰交(さんいんこう)

三陰交

女性特有の疾患に効果を発揮する三陰交は、舌苔の改善も期待できます。内くるぶしの上、指4本分のところでアキレス腱より前側の骨の際が目印です。

自宅でできる舌苔改善のセルフケア

自分でもやめたいと思っているのに、ついつい続けてしまう習慣はありませんか?

人は新しいことを嫌う傾向があり、いい習慣でも悪い習慣でも、ずっとやってきたことはやめにくいのです。以下にあげる習慣は舌苔を悪化させる一因となるため、やめることで身体を整えていきましょう。

朝、ギリギリまで寝るのをやめる

規則正しい

朝目覚めが悪い、寒くて布団から出れないなど、朝ギリギリまで寝ている人は要注意です。朝の支度の時間が十分にとれないと、心の余裕がなくなりストレスを感じやすくなります。

ストレスが溜まると暴飲暴食の原因になることもあり、舌苔にも悪影響です。こうなると舌の状態は先の方が赤くなったり、横の部分に赤みが出たりするので注意してみてみましょう。

飲みすぎるのをやめる

飲み過ぎ

身体の水はけを担当するのはの役割です。こちらが弱ってくると疲れやすくなったり、冷えや足腰のだるさにつながったりと、さまざまな症状が出てきます。歯痕といって、舌の周りに歯の跡が残るような舌になるのも水分を摂りすぎたときの特徴です。

甘いものを食べ過ぎるのをやめる

暴食

白砂糖は血液を汚してしまう原因となり、冷えにも強い関係があります。白砂糖の摂り過ぎは「湿熱(しつねつ)」と呼ばれ、舌に黄色い苔が多くみられるようになります。

このように、悪習慣をやめることは今日からでもトライでき、毎日の積み重ねで舌の状態や身体の状態は変わってきます。食生活や生活習慣なども、当店では東洋医学的な視点からアドバイスさせていただいております。

まとめ

東洋医学では、舌だけをみても身体全体の状態を把握することができます。舌診は自分でもできるので、調子が悪いときと良いときでチェックしておくと、自分の状態を客観視することが可能です。

舌苔を始め、なにかお困りの症状がある方はぜひ一度、東洋医学の門を叩かれてみてはいかがでしょうか。もちろん、当店へのご来店やご相談もお待ちしております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

吉澤院長